第2章 シンデレラのお話
馬車を追うと大きくて綺麗なお城に着いた。僕はシンデレラ達に続いてお城に入ろうとした。そこで僕は一つの疑問に気付く。
「見えてないのかな?」
門の所には屈強そうな兵士がいる。自慢ではないが僕は戦うなんてことできない。
僕は少し手前にいる兵士に声をかけた。しかし返事がない。
目の前で手を振っても反応はなかった。ということは僕は見えていない?
これほど都合のいいことはない。僕は意気揚々と門を開け中に入った。
お城の中は煌びやかで美しかった。思わず感嘆の声が出た。
前方に階段を登るシンデレラがいた。僕はそれを追う。
シンデレラは一際大きな部屋に入るとベッドに座った。
「あなた、もう下がっていいわよ」
凛とした声が部屋に響く。しかし部屋にはシンデレラと僕以外いない。
僕がキョロキョロしているとシンデレラが苛立ちながら僕を指差した。
「赤いタイをしてるあなたよ!」
シンデレラはカツカツとヒールを鳴らしながら僕に歩み寄る。僕は思考を必死に巡らせる。
なんで見えているんだ?それよりどうすれば……。
「どうかしたのかい?」
扉をノックする音が聞こえた。口調からして王子様だろうか。
「な、何でもないわよ」
シンデレラは僕に対する時よりも優しく穏やかな口調で告げた。そうすると足音が遠のいた。
シンデレラは小さく舌打ちをして僕を睨む。シンデレラってこんな性格だっけ……?
「あんた、どこから来たのよ」
シンデレラはヒラヒラするドレスが気に食わないのかドレスを見て顔を顰める。
僕はなんて言おうか迷った。まさか本当のことは言えない。
いつまでたっても話さない僕にシンデレラは溜息を付く。
「まぁいいわ」
シンデレラはヒールを脱ぎ捨てる。これがあのシンデレラなのか。僕は目を疑う。
「義理姉様や義理母様はさぞかし悔しいだろうなぁ」
クスクスと笑いながら窓を見やる。その横顔は美しくも儚かった。
「いい気味だわ」
シンデレラはそう言いつつも心配そうに元の家を見ていた。