第2章 家族の温もり
死を覚悟したのに攻撃が来なかった
目を開けるとそこには葵がいた
背中で敵からの攻撃を庇ったのだ
俺は起き上がり倒れ込んでくる葵を受け止めた
HPバーがどんどん減少していった
「お兄ちゃん……大好き……」
泣きながら耳元で囁くと葵はガラスのように砕け散り消えていった
「え?」
理解できなかった
今何が起きたのか頭で追いつけなかった
葵が死んだ?
敵はそんなに構わず攻撃を続行してきた
「返せよ……」
近くにある斧を握り締めガードした
そのまま上の方向に敵の手を弾いた
「俺の妹を返せぇぇ」
上から一直線に斧を振り下ろし敵を真っ二つにした
葵は俺が倒れたのを見て自分が相手をしている敵を瞬時に倒し庇いに来たのだ
証拠に葵の剣が少し離れたところに落ちている
部屋の警戒が解かれ部屋のドアが開いた
おぼつかない足取りでその部屋から出た
少し遠くの方から声が響いてきた
「なぁ言ったろ〜俺たちなら余裕だって」
「もう少しで最前線に行けるかもな」
俺も来た時はあんな感じだった
自分の無力さを痛感した
「転移…始まりの街…」
俺は光に包まれ迷宮区から脱出した