第14章 流しに来ました
全身の汗で目が覚める、数時間前よりかなりさっぱりとした体感、自身の額に手を乗せ薬の効きを確かめると私は小さく頷いた
「・・・真さんのこと言えないよ、もう」
いつもなら発熱する前に原因を察知し対処しているというのに、ホークスの家で過ごしたあの日からまともに熟睡できていない
彼に抱いた愛しさ、相澤くんの反対、山田くんの困惑、そして塚内さんの甘く追い詰めるような声、
散らかった頭の中がどうにもうまく機能していない、まるで知恵熱、出勤早々にリカバリーガールに早退を命じられるなんて情けなさすぎる
———めぐさん、大丈夫ですか、
あえて既読をつけていないトーク画面、数件入っている着信の表示にも胸が痛む
揺れ動く自分の心が信じられなくて、どちらかの顔を見るとまた容易く流されてしまいそうで
塚内さんの言う通り、私は情けなく黙秘を貫いている
確か今日の午後は二人が雄英に来る予定だったっけ、顔を合わせなくて済んだことにほっとしている自分に溜息を漏らして
着替えを済ませ冷たい水で喉を潤すと、朝よりもずっと広く感じた視界
ベッドに腰掛けテレビのリモコンに手を伸ばしかけた瞬間、インターホンの音が部屋に響いた
「めぐさん、俺です」
ドア越しに聞こえたその声に思わず両手で口元を覆う、うそ、なんで、部屋番号教えてないのに、息を殺し玄関のドアを見つめるとコンコンコンとノックの音が聞こえた
「・・それで気配消してるつもりです?」
舐めてもらっちゃ困りますよ、苛立っているようにも楽しげにも聞こえる声、こんなのまるで借金取りのよう、カツカツと秒数を数えて響く靴音が私の無駄な抵抗を容赦なく責めている
仕方なく立ち上がりできるだけ音を立てないように掛けたドアのチェーン、まるで見えているかのように外から聞こえた含み笑いに酷く居心地が悪くなった
「な、何考えてんの、もう・・!」
「連絡つかんもん、そりゃ来るでしょ」
小さく開いたドアの隙間から見えた爽やかな笑顔、
自分でチェーン外します?それとも俺が引きちぎりましょうか?、微笑む彼の威圧感に私は数歩後ずさった
「ごめん、今日、体調が悪くてね・・っ」
「知ってます、だから看病しに来ました」