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▶︎抽出時間はそれぞれ◀︎【ヒロアカ】

第14章 流しに来ました



「・・ほーくす、起きてるんでしょう、?」

もう離していいよ、消えそうなほど小さな甘い声、一瞬だけ開けた片目が色付いたその頬を捉える


「呼び方直してくれるまで、寝てます」

「ふふ」

「笑ってないで早く起こして下さいよ」

腕の力を強めてすりすりと頭に顔を寄せると、彼女が困ったように視線を落とした


「・・啓悟、さっきスマホすごい鳴ってたよ」

「嬉しさ半減」

顔を顰めると可笑しそうに彼女が肩を震わせる
渋々解いた腕、窓の外に薄暗くなった空が見えて俺は腕時計を確認した


「ん、二時間くらいですかね」

「忙しいのにごめん・・っ、」


「めちゃくちゃ疲れが取れました、十時間寝たかと思った」


優しいね、髪を整えた彼女が幸せそうに微笑む
先ほどよりも良くなった顔色に安堵しながら俺はソファへ座り直した


「じゃあお礼の紅茶、淹れてくれます?」

いつも飲んでるの知りたいです、覗き込んで笑いかけるとその眉がほんの少しだけ下がる



「・・でも、飲んだら帰っちゃうんでしょう?」

赤く潤んだ目元と噛み締められた唇、甘い声が空気を震わせる
無自覚だからこそ恐ろしい、彼女のこの表情に落ちない男は居ないだろう



「ええ、帰ります」

「・・っ」

「そんな顔しても駄目」

俺が欲しいのは貴女の特別、寂しさを埋める為の一時的な時間じゃない
ここに居るのが俺じゃ無かったとして、彼女はきっと他の二人にも同じ表情を見せたはずだ




「・・俺に会いたくて、泣く貴女が見たいんです」


「え・・?」

「他の男では満たされないと思い知って」

貴女にとって俺だけが特別だと、俺じゃなきゃ駄目だと、その胸を思い切り掻き乱して貴女を狂わせたい


「俺、性格悪いんで」

貴女の欲しいもの全部はあげません、大きく開いた瞳が俺を見上げている、じわりと熱を持った頬が部屋の照明に照らされて

俺が欲しいのはそう、その顔です、今貴女の目には一面の青すら映っていない



「力押し、効きました?」


俺を欲しいと思うまで何度でも、何度だって貴女を流して見せる




だから早く、その心から他の男を追い出して



甘く潤んだ瞳、震える唇から小さな吐息が漏れる
今すぐ吸い付きたい衝動を抑えた俺は、親指でゆっくりと赤をなぞった


「・・俺に蕩されてみません?気持ちいいですよ」


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