第28章 脹相〜Tシャツのその後〜
それから、少し経った頃。
いつの間にか、私は家にいるとき、脹相のTシャツを借りることが増えていた。
最初は一枚だけだった。
寝るときに借りてみたら、思った以上に落ち着いた。
それ以来。
「脹相、このTシャツ借りてもいい?」
「ああ」
そんなやり取りが自然になった。
別の日には、
「今日はこっち借りるね」
「ああ」
脹相も特に何も言わない。
むしろ最近では、私が脹相のTシャツを着ていても、もう驚かなくなっていた。
その日もそうだった。
私は少し大きめのTシャツを着て、リビングのソファに座っている。
「……これ、やっぱり落ち着く」
「そうか」
脹相は向かい側で本を読んでいた。
「うん。匂いがするから安心する」
「……そうか」
脹相は本から目を離さない。
けれど、耳が少し赤い。
そんなことにも、私はもう慣れていた。
そのとき。
玄関のチャイムが鳴った。
「誰だろう」
「俺が出る」
脹相が立ち上がる。
そして玄関へ向かう。
「脹相〜〇〇〜!」
聞き慣れた声。
「悠仁だ」
ドアが開く。
「お邪魔しま――」
悠仁がリビングへ入ってくる。