第27章 脹相〜脹相の服気に入った〜
部屋に戻って。
私は借りたTシャツに着替える。
「……」
やっぱり大きい。
でも。
それ以上に。
脹相の匂いがする。
「……落ち着く」
私はベッドに入る。
タオルケットは脹相に貸しているから、いつもとは少し違う。
でも。
代わりに脹相のTシャツがある。
それだけで、妙に安心できた。
「おやすみ、脹相」
小さく呟いて。
私は目を閉じた。
一方。
脹相は自分の部屋で、借りたタオルケットを見つめていた。
「……」
そして。
あなたの言葉を思い出す。
『脹相の匂いがするやつがいい』
『匂いがすると安心するから』
「……」
脹相は片手で顔を覆った。
「……落ち着け」
自分に言い聞かせる。
ただTシャツを貸しただけだ。
それだけ。
なのに。
自分の匂いがするものを、あなたが身につけて眠っている。
そう考えると。
どうにも意識してしまう。
「……」
さらに。
自分が使うタオルケットには、あなたがいつも使っているものだという事実がある。
あなたの匂いがするかもしれない。
そう考えた瞬間。
「……」
脹相はますます困った顔になる。
そんなことを意識する自分がおかしい。
けれど。
タオルケットを広げると、ふわりと柔らかな感触が身体を包んだ。
「……柔らかい匂いがする」
思わず呟く。
それから。
静かに目を閉じる。
頭の中には。
自分のTシャツを抱えるようにして眠るあなたの姿が浮かんでしまう。
「……」
脹相は深く息を吐いた。
「……明日、普通に顔を合わせられるだろうか」
答えは分からない。
けれど。
あなたが「匂いがするやつがいい」と言ったときの顔を思い出すと。
どうしても頬が熱くなる。