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呪術廻戦〜脹相〜

第26章 脹相〜脱いだシャツの行方〜


「待て」

「今度は何?」

「ボタン」

「ん?」

「一番上まで閉めるな」

「え?」

「苦しくなるだろう」

「ああ、そういうこと」

 私は笑いながら頷く。

「分かった」

 脹相は少し安心したように息を吐いた。

 けれど。

 あなたが自分のシャツを着ているという事実は、どうしても気になってしまう。

 それはただのシャツだ。

 何度も着ている。

 特別なものでもない。

 なのに。

 あなたが着ているだけで、妙に違って見える。

「……」

 脹相は無意識にあなたを目で追う。

 袖が余っている。

 肩も少し落ちている。

 いつも自分が着ている服なのに。

 あなたが着ると、まるで別の服みたいだった。

「脹相」

「ああ」

「これ、返す?」

「いや」

「いいの?」

「洗濯するまで着ていてもいい」

「じゃあそうする」

「……ああ」

 あなたが嬉しそうに笑う。

 その笑顔を見て。

 脹相はまた視線を逸らした。

「……」

 落ち着け。

 ただシャツを貸しただけだ。

 それ以上ではない。

 そう自分に言い聞かせる。

 けれど。

「ねえ」

「ああ」

「このシャツ、脹相の匂いするね」

「…………」

 脹相が完全に固まった。

「……そうか」

「うん。なんか安心する」

「……」

 今度こそ。

 脹相は何も言えなくなった。

 
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