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呪術廻戦〜脹相〜

第26章 脹相〜脱いだシャツの行方〜


「……何をしている」

「え?」

 背後から声がした。

 振り返る。

「脹相、おかえり」

「ああ……」

 脹相がこちらを見る。

 そして。

 止まった。

「…………」

「?」

 私は首を傾げる。

「どうしたの?」

 脹相は何も答えない。

 ただ。

 明らかに目を見開いている。

「脹相?」

「……それ」

「これ?」

 私はシャツの裾をつまむ。

「ちょっと借りてみた」

「……」

「大きいね」

「……なぜ」

「え?」

「なぜ、それを着ている」

「何となく」

 あまりにも普通に答えたせいか。

 脹相の顔が、さらに困ったようになる。

「何となく……」

「うん」

「俺のシャツを?」

「そう」

「……」

 脹相は視線を逸らした。

「脱げ」

「え?」

「いや」

 慌てたように言い直す。

「……いや、そういう意味ではない」

「ふふ」

「笑うな」

「だって、すごく慌ててる」

「慌てていない」

「慌ててるよ」

 脹相は黙り込む。

 そして、少し離れた場所へ視線を向けた。

「……似合っている」

「え?」

「……」

「今、似合ってるって言った?」

「ああ」

「じゃあ、脱がなくていい?」

「……」

 脹相がまた固まる。

「いや」

「どっち?」

「……」

 しばらく悩んだあと。

「そのままでいい」

「ふふ」

「ただ」

「うん?」

「その……」

 脹相が言葉を探す。

「……俺の服を着ているのを見慣れていないから、少し驚いただけだ」

「そんなに?」

「ああ」

 私はシャツの袖を少しまくる。

「でも、着心地いいよ」

「そうか」

「大きいから楽」

「……なら、好きに使え」

「いいの?」

「ああ」

「じゃあ、これ部屋着にしちゃうよ?」

「……」

 また沈黙。

「脹相?」

「……構わない」

 答えるまでに妙に時間がかかった。

「ありがとう」

 私は笑う。

 そのままソファへ向かおうとすると。
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