第24章 脹相〜郵便物受け取り
声が妙に焦っている。
「脹相?」
「……」
「何でそんなに慌ててるの?」
「……」
脹相が言葉に詰まる。
視線が一瞬、私の服へ向く。
そして、慌てたように逸らした。
「……その」
「うん?」
「薄すぎる」
「そう?」
「ああ」
「家の中だから普通だよ?」
「家の中ならな」
「じゃあ――」
「玄関の外は違う」
即答だった。
「……」
私は少し目を丸くする。
脹相は明らかに落ち着かない様子で、私の近くに置いてあったパーカーを手に取った。
「これを着ろ」
「自分で着られるよ」
「分かっている」
そう言いながら、脹相はパーカーを私へ差し出す。
「早く」
「ふふ」
「何だ」
「本当に慌ててるね」
「……慌てていない」
「慌ててるよ」
「慌てていない」
言葉とは裏腹に。
耳が赤い。
「脹相」
「ああ」
「もしかして、私がその格好で外に出るのが嫌なの?」
「……」
沈黙。
チャイムがまた鳴る。
ピンポーン。
「……ああ」
ようやく脹相が認めた。
「嫌だ」
「……」
「その格好を、他人に見られるのが嫌だ」
真剣な顔だった。
「……どうして?」
「……分からない」
「分からないの?」
「いや」
脹相は一度目を閉じてから、言葉を探す。
「分かっているが……うまく説明できない」
「……」
「ただ」
脹相が私を見る。
「嫌なんだ」
それだけだった。