第23章 脹相〜私の特等席〜
それがすっかり習慣になって、しばらく経った頃。
私は今日もソファの前の床に座っていた。
背中はソファに預けている。
後ろには脹相。
もう何も考えなくても、自然とこの場所に座るようになっていた。
「……」
脹相も特に何も言わない。
むしろ私がここに座ることが、すっかり当たり前になっている。
そんなある日。
「〇〇ー!脹相、遊びに来たよー!」
玄関から悠仁の声がした。
「入れ」
「お邪魔しまーす」
悠仁がリビングへ入ってくる。
「お、二人ともいた――」
そこで。
悠仁の動きが止まった。
「……え?」
「どうしたの?」
私は振り返る。
悠仁が私と脹相を交互に見る。
「……何でそこに座ってんの?」
「そこ?」
「いや、そこ!」
悠仁が私のいる床を指差す。
「普通ソファに座らない?」
「私はここがいいの」
「……」
悠仁が脹相を見る。
「脹相も何も言わないの?」
「ああ」
「むしろ何で脹相、そんな自然に後ろにいるの?」
「いつものことだからな」
「いつものことなの!?」
悠仁が驚く。
私は笑った。
「もうずっとここに座ってるから」
「へえ……」
悠仁はしばらく私を見る。
そして。
「……もしかして、そこ定位置?」
「うん」
「脹相の足の間が?」
「そう」
「……」
悠仁が頭を抱える。
「いや、仲良すぎない?」
「そうかな?」
「そうだよ!」
脹相は何でもない顔で答える。
「本人がここを気に入っている」
「脹相は?」
「俺も慣れた」
「慣れたって……」
悠仁が呆れたように笑う。
「まあ、二人がいいならいいけどさ」
そう言いながら、悠仁は向かい側の椅子に座った。