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呪術廻戦〜脹相〜

第23章 脹相〜私の特等席〜


いつからだっただろう。

 私がソファに座らなくなったのは。

 正確には。

 ソファに座るのは脹相。

 そして私は、その前の床。

 それが、いつの間にか当たり前になっていた。

「……」

 その日も、夕食を終えた私はテレビを見ながら、いつものようにソファの前へ座った。

 脹相は後ろにいる。

「そこ、座るのか?」

「うん」

「ソファは空いているぞ」

「ここがいい」

「……そうか」

 脹相はそれ以上何も言わなかった。

 私はそのまま、背中をソファの座面へ預ける。

 すると。

 自然と脹相の足の間に収まる形になる。

「……」

 脹相が固まった。

 けれど私は気にしない。

 テレビを見る。

「今日これ見たかったんだ」

「ああ」

 脹相の返事が少し遅い。

「面白そうだよね」

「ああ」

「……脹相?」

「ああ」

「ちゃんと見てる?」

「見ている」

 嘘だった。

 ほとんど内容が頭に入っていない。

 脹相の視線はテレビよりも。

 自分の目の前にいるあなたへ向いていた。

 近い。

 とにかく近い。

 あなたの頭が、自分の膝のすぐ近くにある。

 少し身体を動かせば、肩に触れてしまいそうな距離。

 そして。

 あなたは何の疑問も持っていない。

 完全に安心しきっている。

「……」

 脹相は自分の手を見た。

 置く場所がない。

 左右どちらに置いても、あなたに触れてしまいそうだ。

 結局、腹の上で手を組む。
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