第21章 脹相〜頬へのキス〜
「脹相」
「ああ」
「本当にごめん」
「だから、謝らなくていい」
「でも……」
「事故だろう」
「うん……」
「なら気にするな」
優しい声だった。
私は少しだけ顔を上げる。
「……本当に?」
「ああ」
「嫌じゃなかった?」
「……」
脹相が黙る。
「脹相?」
「嫌ではない」
「……」
「ただ」
「うん?」
「少し驚いた」
私は小さく笑った。
「私も」
「ああ」
二人とも気まずくなってしまい、しばらく黙る。
私はもう一度雑誌を見る。
「……さっきの服」
「ああ」
「見てくれる?」
「分かった」
脹相が隣に座る。
今度はちゃんと、少し距離を空けて。