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呪術廻戦〜脹相〜

第21章 脹相〜頬へのキス〜


「どれだ?」

「え?」

 声がすぐ近くから聞こえる。

 脹相が後ろから覗き込んでいた。

「これ?」

「うん、それ――」

 私は反射的に振り向いた。

「……」

「……」

 近い。

 思っていたより、ずっと。

 振り返った瞬間。

 私の頬が、脹相の頬に触れた。

 ……いや。

 違う。

「……」

 柔らかい感触。

 一瞬だけ。

 唇が脹相の頬に触れていた。

「…………」

 時間が止まった。

「…………え」

 私が固まる。

 脹相も固まっている。

「……」

「……」

 何が起こったのか。

 理解するまで、数秒かかった。

 そして。

「…………!」

 私は一気に顔が熱くなった。

「ご、ごめん!」

 慌てて離れる。

「今の……!」

 脹相は何も言わない。

「違うの!」

「……」

「本当に違くて!」

「……何がだ」

「わざとじゃない!」

「ああ」

「振り向いたら、脹相がそこにいて……!」

「分かっている」

「……」

 脹相はそう答えた。

 けれど。

 耳が赤い。

「……脹相?」

「ああ」

「顔、赤くない?」

「赤くない」

「赤いよ」

「気のせいだ」

「絶対赤い」

 脹相は黙った。

 私は恥ずかしさで雑誌に顔を伏せた。

「……もう無理」

「何がだ」

「恥ずかしい」

「……」

 脹相は少しだけ視線を逸らす。

 実は。

 彼も、かなり動揺していた。

 ほんの一瞬だった。

 頬に触れた感触も、近すぎた距離も。

 全部、鮮明に残っている。

 けれど。

 あなたがわざとではないことも分かっている。

 だから、何か言うつもりはなかった。

 ただ。

「……」

 頬に触れられた場所が、妙に熱い。
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