第21章 脹相〜頬へのキス〜
午後。
私はリビングのソファで雑誌を読んでいた。
脹相は少し離れたところで本を読んでいる。
静かな時間だった。
ページをめくる音だけが、時々部屋に響く。
「……これ、かわいい」
雑誌に載っていた服を見ながら、私は小さく呟いた。
写真には、春らしいワンピースが載っている。
「脹相」
「何だ」
少し離れたところから返事が返ってくる。
「ちょっとこれ見て」
「ああ」
脹相が本を閉じる音がした。
私は雑誌を開いたまま、脹相が来るのを待つ。
「これ」
指で写真を示す。
「どう思う?」
「……」
返事がない。
「脹相?」
そのとき。
後ろから気配がした。