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呪術廻戦〜脹相〜

第20章 脹相〜頭を撫でる〜


夜。

 私はソファに座って、ぼんやりテレビを見ていた。

 隣には脹相がいる。

 今日も特別なことはない。

 同じ家で暮らして。

 同じ時間を過ごして。

 それぞれ好きなことをしている。

 そんな、いつもの夜だった。

「……眠い」

 私は小さく呟いた。

「寝ればいい」

「まだ寝たくない」

「なら、無理するな」

「うん」

 私は欠伸をして、ソファの背もたれに頭を預ける。

 すると。

 ふわり。

 頭に何かが触れた。

「……?」

 脹相の手だった。

 大きな手のひらが、私の頭にそっと乗っている。

「……脹相?」

「ああ」

「何してるの?」

「……」

 脹相自身も少し不思議そうに自分の手を見る。

「分からない」

「分からないの?」

「ああ」

 そう言いながらも。

 手は離れなかった。

 むしろ。

 髪をゆっくり撫でる。

「……」

 優しい。

 頭のてっぺんから後ろへ。

 髪を整えるように、何度もゆっくり撫でてくれる。

「気持ちいい……」

 思わず目を閉じる。

「そうか」

 脹相の声が少しだけ柔らかくなった。

「嫌じゃない?」

「うん」

「なら……」

 また撫でる。

 一定のリズム。

 急ぐこともなく。

 ただ、落ち着かせるように。

「……なんか眠くなってきた」

「寝てもいい」

「脹相が撫でてるからかな」

「……」

 脹相が少し黙る。

「俺も、そうかもしれない」

「え?」

「こうしていると落ち着く」

 私は目を開ける。

「脹相も?」

「ああ」

「私の頭を撫でると?」

「……そうだ」

 少しだけ気まずそうに答える。

 でも、手は止めない。

「変なの」

「そうか?」

「うん。でも……嫌じゃない」

「そうか」

 また一度。

 ゆっくり撫でる。

 私はその手の温かさに安心して、また目を閉じた。

  
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