第19章 脹相〜チャック〜
「脹相ー」
部屋の向こうから声がする。
「ああ」
「着替えたよ」
「そうか」
「ねえ」
「何だ」
「今日、楽しかったね」
「ああ」
「また出かけよう」
「……ああ」
脹相の声が少し柔らかくなる。
「次はどこへ行きたい?」
「考えておく」
「うん」
あなたが笑う。
その声を聞きながら。
脹相も小さく笑った。
今日は何度もあなたに頼られた。
ただそれだけの一日。
けれど。
付き合っていない今の二人にとって。
こういう何気ない時間こそが。
少しずつ距離を近づけているような気がした。
脹相はそのことを、まだ口にはしない。
ただ。
また頼ってくれたらいい。
そんなことを思いながら。
あなたのいる部屋へ向かった。