第15章 脹相〜友達の恋愛相談〜
三人で店を出る。
友達と別れ、二人だけになる。
「今日は楽しかったね」
「ああ」
「相談してもらうのって、なんか緊張する」
「そうだな」
「脹相、ちゃんと答えてたね」
「俺は思ったことを言っただけだ」
「でも、いいこと言ってた」
「……そうか」
二人で並んで歩く。
少しして。
脹相の手が、自然に私の手へ触れた。
「……」
私は何も言わず、その手を握り返す。
いつものことだった。
脹相も何も言わない。
ただ。
繋いだ手を見下ろしながら、さっきの友達の相談を思い出していた。
――「相手が自分といることを心地よく思っているのか、それを知ることからでいい」
自分で言った言葉が、今になって胸に刺さる。
隣を見る。
あなたは何も知らず、楽しそうに今日の話をしている。
「ねえ、脹相」
「ああ」
「帰ったら何食べる?」
「お前は何がいい」
「うーん……」
そんな何気ない会話。
それだけでいい。
今は。
脹相は繋いだ手をほんの少しだけ強く握った。
――好きだ。
その気持ちは、誰にも言わない。
少なくとも今は。
自分の中だけに、静かにしまっておく。
いつか。
あなた自身が同じ気持ちを見せてくれたなら。
そのとき初めて。
この気持ちを言葉にすればいい。
そう思いながら。
脹相は何も言わず、あなたの隣を歩き続けた。