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呪術廻戦〜脹相〜

第14章 脹相〜寝ぼけたことは利用しない〜


ふと。

 昨日の夜のことが、少しずつ蘇ってくる。

 脹相がいない家。

 一人でソファに座っていたこと。

 寂しくなって、そのまま寝てしまったこと。

 そして――。

「……ねえ」

「ああ」

「私、昨日……脹相に何かした?」

「……」

 脹相が一瞬だけ黙った。

「何で黙るの?」

「……お前は俺に抱きついた」

「…………」

 私は固まった。

「え?」

「寝ぼけていたようだ」

「私が?」

「ああ」

「……どのくらい?」

「かなり長く」

「…………」

 顔が熱くなる。

「ごめん!」

「謝る必要はない」

「でも、脹相が泊まりじゃなかったら……」

「そういう問題ではない」

「じゃあ、何?」

 脹相は少しだけ目を逸らす。

「……お前が寂しかったと言っていた」

「え?」

「一人でいるのが嫌だった、と」

「私が?」

「ああ」

「寝言?」

「……そうだ」

 脹相はそれ以上、何も言わなかった。

 本当は。

 あなたが眠ったまま、自分に向かって「好き」と呟いたことも。

 しっかり覚えている。

 胸元に顔を埋めたまま。

 安心しきった声で。

 何度も。

 けれど。

 それを本人に伝えるつもりはなかった。

 あれはきっと、寝ぼけていたから出た言葉だ。

 そんな言葉を利用するようなことはしたくない。

 だから。

「……」
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