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呪術廻戦〜脹相〜

第13章 脹相〜帰ってこない日〜


玄関の鍵が回る音がした。

「……」

 静かな家の中。

 脹相が帰ってきた。

 予定では泊まりだった。

 しかし、用事が予定より早く終わったため、そのまま帰ってきたのだ。

「……ただいま」

 返事はない。

「寝ているのか?」

 電気をつける。

 リビングへ向かうと。

「……」

 ソファで丸くなっているあなたがいた。

「……」

 脹相は少し驚いた。

 こんなところで寝ている。

「風邪を引くぞ」

 近づいて、肩にそっと触れる。

「……ん」

 あなたが小さく身じろぎした。

「起きろ」

「……ちょうそう?」

「ああ」

 寝ぼけた声。

「帰ってきたの……?」

「ああ。予定より早く終わった」

「……そっか」

 あなたは目をほとんど開けない。

「寒いだろう。寝室へ――」

 脹相が言い終わる前に。

 あなたの腕が伸びた。

「……え」

 そのまま。

 ぎゅっ、と脹相の服を掴む。

「……」

 そして。

 胸元に顔を埋めるようにして抱きついた。

「……脹相」

「……」

 脹相は完全に固まった。

「おい……」

 返事はない。

 あなたは眠ったまま、脹相にしがみついている。

「……」

 脹相の心臓が大きく鳴った。

 近い。

 あまりにも近い。

 普段なら、こんな距離になることなどほとんどない。

「……離れろ」

 そう言おうとした。

 けれど。

「……寂しかった」

 あなたが寝ぼけながら呟いた。

「……」

 脹相は言葉を失った。

「……一人、やだった」

 胸元に顔を押しつけたまま。

「脹相いないと……なんか静か」

「……」

 脹相は目を伏せた。

 その言葉は、思っていた以上に嬉しかった。

「……そうか」

 小さく答える。

「俺も」

「……ん」

「お前がいない家は、静かだった」

 聞こえているかは分からない。

 それでも、言葉が止まらなかった。

「帰るつもりはなかったが……」

 脹相はあなたの頭にそっと手を置く。

「早く帰ってきてよかった」

 髪を撫でる。

 あなたは安心したように小さく息を吐いた。
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