第10章 脹相〜友達に紹介〜
私たちはリビングへ移動した。
友達はソファに座りながら、部屋を見回す。
「あ、このマグカップ」
棚に並んでいる二つのマグカップに気づいた。
色違いのペアマグカップ。
「あれ、お揃い?」
「うん」
私が答える。
「二人で買ったの」
「へえ……」
友達の視線が私と脹相を行き来する。
「仲いいんだね」
「まあ、一緒に住んでるし」
私が何気なく答える。
すると友達がニヤッとした。
「で、二人って付き合ってるの?」
「え?」
私は固まった。
脹相も黙る。
「付き合ってないよ」
「本当に?」
「うん」
「じゃあ、なんで同棲してるの?」
「それは……」
言葉に詰まる。
脹相は黙ってこちらを見ていた。
「まあ、色々あって」
「ふーん」
友達は明らかに納得していない顔をする。
「でも脹相、すごく大事にしてそう」
「……」
脹相の目がわずかに揺れる。
「そう?」
「うん。さっきからずっと見てる」
「えっ」
私は脹相を見る。
目が合う。
脹相は少しだけ視線を逸らした。
「……見ていない」
「見てたじゃん」
「……」
友達が笑う。
「分かりやすいね」
脹相は何も言わない。
けれど耳が赤い。
私はそれに気づいて、少し笑ってしまう。
「脹相、緊張してる?」
「……少し」
「珍しい」
「お前の友達だからな」
「私の?」
「ああ」
その言葉に、友達がまたニヤニヤする。
「やっぱり大事にしてるじゃん」
「……」
脹相は否定しなかった。