第8章 脹相〜関係を壊したくない
そして心の中で思う。
悠仁の言う通りなのかもしれない。
いつまでも、このままではいられない。
あなたの隣にいることが幸せだからこそ。
いつかは、この気持ちを伝えなければならない。
けれど今はまだ。
「脹相?」
「何だ」
「今日、夕飯何がいい?」
「……お前が作るなら何でもいい」
「じゃあ一緒に買い物行こう」
「ああ」
あなたが笑う。
脹相も頷く。
その光景を見ながら、悠仁は小さく笑った。
「まあ……」
二人が並んで歩いていく背中を見送る。
「焦らなくても、いつか進むかな」
けれど、その直後。
悠仁は小さく付け加えた。
「……脹相がちゃんと言えればだけど」
その頃。
脹相はあなたと並んで歩きながら、そっと手を伸ばした。
指先が触れる。
あなたが振り返る。
「どうしたの?」
「……何でもない」
そう言いながら。
脹相は今度こそ、あなたの手を握った。
まだ告白はできない。
それでも。
昨日より少しだけ。
あなたとの距離は近づいていた。