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呪術廻戦〜脹相〜

第8章 脹相〜関係を壊したくない


「はい、二人とも」

「ありがと」

「ああ」

 私は脹相の隣に座る。

 自然な動作だった。

 脹相もそれを当たり前のように受け入れる。

 悠仁は二人を見て、苦笑した。

「……ほんと仲いいよね」

「そう?」

「うん」

 私は笑う。

「一緒に暮らしてるからね」

 脹相は何も言わなかった。

 けれど、隣に座った私の存在を意識していた。

 肩が近い。

 少し動けば触れそうな距離。

 それだけで、胸の奥が温かくなる。

 悠仁はその様子を見逃さなかった。

「ねえ」

「何?」

「二人って、ほんとに付き合ってないんだよね?」

「うん」

「……だよね」

 悠仁は脹相を見る。

 脹相は視線を逸らした。

「何でそんなこと聞くの?」

「いや、なんとなく」

 悠仁は笑って誤魔化した。

 それからしばらく三人で話していたが、私は飲み物を取りに席を立った。

 キッチンへ行ったところで、悠仁が小声で言う。

「脹相」

「何だ」

「俺、本当に心配してるんだからね」

「……何を」

「このまま何年も何も言わないんじゃないかって」

「……」

「お前が好きなの、もう俺には分かるよ」

 脹相は黙った。

「でも、あの子はどうなのか分からない」

「……ああ」

「だからこそ、いつかちゃんと伝えたほうがいいと思う」

「……」

 脹相は自分の手を見る。

「怖いんだ」

 小さな声だった。

 悠仁が目を丸くする。

「脹相が?」

「ああ」

「何が?」

「今の関係がなくなることが」

 悠仁は少し黙ってから、優しく笑った。

「でもさ」

「……」

「何も言わないままでも、時間は進むよ」

 その言葉が、脹相の胸に残った。

 私は何も知らずに戻ってくる。

「何話してたの?」

「内緒」

 悠仁が笑う。

「えー?」

「大したことじゃないよ」

 私は不思議そうに脹相を見る。

「脹相は?」

「……ああ」

「何?」

「何でもない」

「またそれ?」

 私は笑う。

 脹相も、ほんの少しだけ笑った。

 悠仁はそんな二人を見て、ため息をつく。

「……ほんとに大丈夫かな」

「何が?」

「いや、こっちの話」

 私は首を傾げる。

 脹相はそんな私を見つめていた。

 
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