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呪術廻戦〜脹相〜

第8章 脹相〜関係を壊したくない



「……脹相」

「何だ」

「進展してる?」

「……」

 脹相が黙る。

「何の話だ」

「何の話って、分かってるでしょ」

「分からない」

「絶対分かってる」

 悠仁は呆れたように息を吐いた。

「一緒に住み始めて、もう結構経つじゃん」

「ああ」

「毎日一緒にいて」

「ああ」

「買い物も二人で行って」

「ああ」

「お揃いのマグカップまで買って」

「……」

「それで、まだ何もないの?」

 脹相はしばらく黙っていた。

「……何もないわけではない」

「おっ?」

 悠仁が身を乗り出す。

「何があった?」

「……」

「脹相?」

「……手を繋いだ」

「それだけ?」

「ああ」

「ええ……」

 悠仁が頭を抱える。

「脹相、それじゃ全然進んでないじゃん」

「そうなのか?」

「そうだよ!」

 思わず声が大きくなる。

 キッチンから私の声が飛んできた。

「悠仁、どうしたの?」

「何でもない!」

 悠仁は慌てて答える。

 脹相は何事もなかったように座っている。

「……」

 悠仁はそんな脹相をじっと見た。

「もしかしてさ」

「何だ」

「脹相、告白する気ないの?」

「……」

 脹相の視線が少し落ちる。

「今はない」

「なんで?」

「……今の関係を壊したくない」

 悠仁は黙った。

 脹相は続ける。

「俺は、今の生活が好きだ」

「うん」

「朝起きれば、あいつがいる」

「うん」

「一緒に食事をして、買い物をして……家に帰る」

「うん」

「それだけで十分だと思っている」

 悠仁は少し困ったように笑った。

「でもさ」

「何だ」

「脹相は、それで本当にいいの?」

「……」

「俺から見ると、全然十分そうに見えないけど」

 脹相は答えなかった。

 そのとき、キッチンから私が戻ってきた。
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