第33章 迷子の子ども
「ねえ、脹相」
「なんだ」
「帰ったら、今日買ったシャツ着て見せてね」
「ああ」
「それと、晩ご飯何食べたい?」
「お前が作るなら何でもいい」
「それ、一番困る答え」
「……では、鍋」
「急に具体的になったね」
「お前と食べたい」
「……え?」
脹相は真顔のまま前を向いている。
「……二人で食べる鍋は、好きだ」
その言葉だけで。
あなたの頬は、ほんの少し赤くなった。
脹相はそれに気づいていた。
けれど何も言わない。
ただ、繋いだ手だけは。
家に着くまで、一度も離さなかった。