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呪術廻戦〜脹相〜

第32章 視線を隠しても



「……脹相?」

「……なんだ」

「どうしたの?」

「いや……」

「さっきから静かだけど」

「何でもない」

「またそれ」

 私は笑う。

 その瞬間、脹相の目がまた唇へ向いてしまう。

「……っ」

 慌てて目を逸らした。

「……?」

「……お前が悪い」

「私?」

「ああ」

「何もしてないよ?」

「そういうところだ」

 意味が分からず、私は首を傾げる。

「ねえ、もう目を隠さなくてもいいんじゃない?」

「……」

「私、もう見ないから」

「……本当か?」

「うん」

 脹相はしばらく迷っていた。

 けれど手を離さない。

「……もう少し、このままでいいか」

「いいよ」

 素直に答えると、脹相の手が少しだけ柔らかくなる。

「脹相の手、あったかいね」

「……そうか」

「落ち着く」

「……」

 その言葉に、脹相の胸が大きく鳴った。

 けれど。

 また視線が下へ落ちる。

 見てしまう。

 彼女の唇。

 さっきから、そればかり気になっている。
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