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呪術廻戦〜脹相〜

第32章 視線を隠しても


夜。

 夕食を終えた私たちは、いつものようにリビングで過ごしていた。

 脹相はソファに座って本を読んでいる。

 私はその隣に座りながら、スマホを触っていた。

 ……はずだった。

 気づけば、スマホから顔を上げて、脹相を見ていた。

 真剣に本を読む横顔。

 ページをめくる長い指。

 少し伏せられた目。

 何度見ても飽きない。

「……」

 気づかれないように見ていたつもりだった。

 けれど、しばらくすると脹相が本から顔を上げた。

「……何だ?」

「え?」

「さっきから俺を見ているだろう」

「……見てた」

「なぜだ」

「なんとなく」

「……そうか」

 脹相は本へ視線を戻した。

 私もスマホを見る。

 けれど数秒後、また脹相を見てしまう。

「……またか」

「うん」

「……」

「だめ?」

「駄目ではない」

 そう答えながら、脹相の耳が少し赤くなる。

「じゃあ見ていい?」

「……あまり見つめられると恥ずかしい」

「脹相が?」

「ああ」

「ふふ」

 珍しく素直にそんなことを言うものだから、余計に見たくなる。

「じゃあ、もうちょっと見る」

「なぜそうなる」

「だって、可愛いから」

「……」

 脹相が固まった。

 そして、ゆっくり本を閉じる。

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