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呪術廻戦〜脹相〜

第30章 脹相〜お風呂の停電〜


「……脹相」

「……ああ」

「ご、ごめん……」

「謝るな」

「でも……」

 自分から抱きついたみたいになっている。

 しかも、タオル一枚。

 そう考えた途端、顔が一気に熱くなった。

「……っ」

 恥ずかしくて、脹相の胸に顔を埋める。

「ごめん……顔見ないで……」

「……」

「今、絶対顔赤いから」

「……見えないから大丈夫だ。」

「脹相?」

「……それに、見ない」

「え?」

「見たら、たぶん俺も困る」

 その言葉に、さらに顔が熱くなった。

「……それって」

「何でもない」

「またそれ……」

 思わず小さく笑ってしまう。

 けれど、脹相の腕はまだ私の腰をしっかり支えている。

「……もう、立てるよ」

「駄目だ」

「え?」

「床が濡れている」

「でも――」

「また転ぶ」

「……」

「だから、少し待て」

 そう言って、脹相は私を支えたまま動かない。

 私は彼の胸元に顔を隠したまま、小さく呟いた。

「……恥ずかしい」

「何がだ」

「この格好で、脹相に抱きついてること」

「……」

「しかも自分から」

「お前からではない」

「でも結果的には……」

「俺が受け止めた」

「そうだけど……」

 脹相の手が、少しだけ緩む。

「嫌だったか?」

「え?」

「俺に抱き止められたこと」

 その声が思ったより不安そうで、私は顔を上げた。

「……嫌じゃないよ」

「……そうか」

「むしろ……安心した」

「……」

「脹相がいてくれてよかった」

 そう言うと、彼は何も答えなかった。

 ただ、腰に回した腕がほんの少しだけ強くなる。

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