第29章 脹相〜温泉旅行〜
夕食を終え、温泉にも入り。
部屋へ戻ってくる。
「今日は楽しかったね」
「ああ」
「来てよかった」
「俺もそう思う」
私は浴衣姿のまま、窓際へ座る。
「外、綺麗」
窓の向こうには、温泉街の明かりが並んでいた。
「脹相も見て」
「ああ」
脹相が隣へ来る。
肩が触れそうな距離。
「……」
私は気にせず外を見る。
けれど。
脹相は違った。
浴衣姿のあなたを見るのは、今日が初めてだった。
いつもと違う服。
髪も少し違う。
旅館という非日常の空気もあって。
どうしても目がいってしまう。
「……」
「脹相?」
「ああ」
「どうしたの?」
「……いや」
視線を逸らす。
「何でもない」
「また?」
「ああ」
私は笑う。
「今日ずっとそれ言ってる」
「……そうか」