第28章 脹相〜Tシャツのその後〜
脹相が首を傾げる。
「悠仁も欲しいのか?」
「違う違う違う!」
悠仁が慌てて両手を振る。
「そういう意味じゃないって!」
「そうなのか?」
「そうだよ!」
「なら、なぜ言った」
「脹相が鈍すぎるんだよ!」
私は思わず吹き出す。
「ふふっ」
「笑うなって!」
「ごめんごめん」
悠仁は少し呆れたように息を吐く。
「……まあ、似合ってるけどさ」
「ありがとう」
「脹相の服だけどね」
「ふふ」
私は笑う。
その隣で。
脹相も小さく息を吐いた。
表情はいつも通り。
けれど。
あなたが自分のTシャツを着ていることを、悠仁に見られて。
少し恥ずかしい。
それでも。
あなたが嬉しそうにしているのを見ると。
貸していてよかったと思う。
付き合っているわけではない。
それなのに。
いつの間にか。
あなたが自分の服を着ていることが、脹相にとって当たり前になりつつあった。
そして悠仁は。
二人を見ながら、小さく呟く。
「……ほんとに付き合ってないんだよな?」
「うん」
私が答える。
「付き合ってないよ」
「……」
悠仁は苦笑した。
「まあ……二人がそれでいいならいいか」
そう言いながら。
何となく納得しきれない顔をしていた。