第6章 取り戻す
同じ空間にいるのが嬉しい
手を伸ばせば触れられる距離
腕の中におさめたい
緊張してる?
視線……怖いよ?
「元気そうで嬉しいよ」
「ありがとうございます」
「部屋、入っちゃだめだったのに入れてくれてありがとね」
「…お話、伺います…」
どこまでも壁作るのね
契約終了の時、ちゃんと向き合えなかった報いだね
「先月、離婚したんだ」
目線を逸らさず聞いている
「そうなんですね…」
「円満離婚だよ、円満」
一切の懸念がないことをアピールしとこう
「それはそれは…」
「僕、フリーになったの」
もちろんコッチもしっかりアピール
「…はい」
「〇〇〇、僕のこともう嫌になっちゃった?それともまだ好きでいてくれてる?」
重くならずあえて軽く
どんどん揺らいでいってる
視線もどんどん遠くを見るそれになっていく
間髪入れず返ってきていた返答が止まる
「大好き、ずっと一緒がいい、会えない辛さ、触れられない寂しさはもうイヤ」
それまで引いていた線もどこまでも高かった壁もすべて取り払って剥き出しの〇〇〇が破裂するように飛び出してくる
ガタッ‼︎
瞬発的に身体が動く
大粒の涙が次から次に溢れてきて子どもが泣きじゃくるみたいに呼吸が苦しそうにヒクヒク泣き出した
あぁダメダメ…そんなに泣かないで…
触れたい、抱きしめたいがもう押されきれない
『ガシッ』
「こんなに小さかったけ?俺の中で存在が大きくなりすぎてサイズ感バグってたのかな?」
はははっ
泣かせちゃってごめんね、よしよし
ベッドの端に座って膝の上に横抱きにのせ背中をさすり続けてくれる。
しばらくすると力が抜け、まだ少しヒクヒクするけど大分落ち着いてきた
「話が終わるまで触れないって決めてたのに…情けねー」
自分の堪え性のなさが笑えて天を仰ぐ