第4章 僕を想う人
【The teacher thinks of you who is not here】
ボクには帰る家がなかった。
正確には、家は在っても、そこにいることができなかった。
できるだけ外で時間を潰してから、家に行く。
ボクには話す人がいなかった。
周囲に沢山の人はいたけれど、誰とも話すことができなかった。
怖くて、話すことができなくて、黙っている。
ボクの心は冷えていた。
帰る家がない。
誰ともつながっていない。
そんな精神(こころ)は、
ほんの些細なきっかけで
グラグラと揺れてしまう。
きっかけはクラスメイトの一言だっただろうか。
気持ち悪い、だったか
ヘンだよね、だったか
蹴られたことだっただろうか
突き飛ばされたことだっただろうか
持ち物を隠されたことだっただろうか
そんな大したことではなかった気がするが
ボクの心は、十分に弱っていたので
フラフラと崩れそうになっていた。
なのに
顔では笑っていたし、
誰にも、何も言わなかった。
ただ、たまに、無性に泣きたくなった。
涙の出ない号泣
涙が出ない代わりに、
内臓を全て吐き出すような、
嗚咽にも似た吐き気を感じた。
それでも、
ボクは、独りで立っていた。