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【境界のRINNE】お題小説集

第1章 【黒洲】お題 海


薄暗くなった帰り道。私は両手に釣り道具を抱えて、あすか様の後ろを歩いておりました。
あすか様は立ち止まってくるっと振り返り、花が開いたかのような笑顔でおっしゃいました。
「黒洲。釣りって楽しいね!また一緒に行きたい!」
私は目を丸くし、眉を下げて笑いました。
「そうですね。今度、ご紹介いただいた場所にも行ってみましょうか。
にしても……。」

私はあすか様と一歩、また一歩と距離を詰めながら、艶やかな声で囁きました。
「どうも不思議なジンクスができましたね……。
私があなた様を甘やかそうとした途端……あなた様の心臓が跳ねるのと同時に釣り竿が跳ねて……。
もっとドキドキさせてしまえば……もっと大物が釣れるのでは……?」

あり得ないのは百も承知です。単に私があすか様の心をかき乱したいだけなのです。先に罠を仕掛けたのはあすか様なのですから、私は悪くありませんよね?

私は鼻先が触れ合いそうな距離でわざと止めて、首を傾げてみせました。
あすか様は真っ赤になって、私から目を離そうとしました。
逃しませんよ?と申し上げるかのように、私は目線を合わせ続けました。

このまま捕まえてしまいたかったのですが、両手が荷物で塞がっておりました。
仕方ありません。本日は泳がせておいて、また後日……ね?
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