第1章 【黒洲】お題 海
「来た!!」
あすか様は目を見開き、慌てて釣り竿を掴みました。私はすぐに後ろにつき、腕を回して体を支えました。
「腰を落として!竿尻をお腹に!そうです!もう少し!!」
あすか様は歯を食いしばってリールを巻き取りました。
1匹の魚が宙を舞い、防波堤の上でぴちぴちと跳ねました。
「「あっ……!」」
赤褐色、オレンジ、黒が見え、2人同時に声をあげました。
釣竿を下ろし、私たちは両手でハイタッチしました。
しかし、大きさは25センチメートル。持ち帰るには小さすぎました。
肩を落とすあすか様に、私はゆるく笑いかけました。
「初めてでお目当ての魚を釣れるのは上出来です。」
すると、周囲から拍手が聞こえてきました。周りの方々が嬉しそうに近寄ってきました。
「おめでとうございます!素晴らしい第一歩ですね!」
「黒洲六段の彼女さんですか?穴場スポットがあるので、お2人も一緒に釣りましょう!」
私は最初目を丸くしましたが、気がつけば自然と釣りについて語っておりました。
私たちはキジハタの写真を撮り、海へ返してやりました。