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【境界のRINNE】お題小説集

第1章 【黒洲】お題 海


2人ともほぼ諦めていたので、帰る前のような言葉を交わしました。
「あすか様。釣り経験がないにも関わらず、一緒に来てくださってありがとうございます。誰かと釣りをするというのは初めてでしたが、とても楽しゅうございました。」

私は黒猫六段としてあの世で面が割れておりますし、釣り場で顔見知りになった方は何人もいらっしゃいました。しかし、私に威圧感があるのか、挨拶以外で話しかけられることはございませんでした。私も、金儲けのために釣りをしている節があるため、釣りを本気で愛されている方々に話しかけて良いものか迷っておりました。

釣り仲間という存在に密かに憧れを抱いていた私にとって、あすか様と過ごせた時間は実に愉快なものでした。

「なら良かった。私が何も知らなすぎて、呆れられてないかなって不安だったから……。」
「語る側としては、反応が新鮮で面白かったです。まあ、白身魚の例としてマグロを挙げられた時は耳を疑いましたが……。」
私はクスッと笑いました。

ふと、あすか様が私の左手に右手を重ねてきました。
私はわざと目を閉じて、飄々とした様子であすか様に申し上げました。
「おや?甘えたいご気分ですか?」
あすか様は顔をほんのり赤らめて頷きました。周りの目がございますのに、大胆なご提案ですこと。
私は悪戯っぽく口角を上げました。
「そうですか。では……。」
あすか様とぐいっと距離を詰めた時、あすか様の釣り竿が小さく跳ねました。
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