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愛しのサプフィール

第19章 授業


「危ない」
危機を感じる前にはもう、父親の左腕が自身の胴を支えていた。脇腹を覆うようにスヴェトザールの手が掴んでいる。
「ご、ごめんなさい」
体勢を戻しながら言うと、頭上から溜め息が聞こえた。
「手を離しては駄目だ。落ちたら無事では済まない」
「はい……」
トレーネスが鞍の前を両手でしっかりと掴むのを確認してから、スヴェトザールがゆっくりと手を元の位置に戻す。
その時、その指の一部が白い光を反射した。
指輪だと分かりつつも、一瞬自身の視界を眩ませたものに目を向ける。
鮮やかな色合いの青い石が嵌め込まれている金の指輪だった。
それをずっと見つめていると、視線に気が付いたスヴェトザールが声をかける。
「手がどうかしたのか」
「あっ、えっと……指輪が、キレイだなって」
慌てた様子でトレーネスが指輪から目を逸らした。注意されたばかりで、どことなくバツが悪い。
「新しく……仕立てたんですか?」
おそるおそる訊くと、小さく笑う声が降ってきた。
「お前が生まれる前から着けていたさ」
それを聞いて、トレーネスは焦りながら俯く。何だかとても失礼なことを言ってしまった気がした。
「気にすることはない。しっかりと座って前を見ていろ」
少し嬉しげな父の声に戸惑いながら、トレーネスは目的地に着くまで大人しく馬に揺られ続けた。











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