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愛しのサプフィール

第18章 指輪


サプフィールの質問に、スヴェトザールは改めて自分が選んだ裸石に目を向ける。
「ええ。全部そうみたいですね」
言いながら、今しがた気付いたように頷いた。
「スヴェトザール様ってサファイア好きですよね」
やや呆れた口調でサプフィールが頬を小さく掻く。
今まで贈られた宝飾品のほとんどがサファイアばかりだ。妻の名前と同じ石だからと安直に選んでいる可能性が高い。
「サファイアがというより……貴方の瞳の色に似ているから、つい」
サプフィールの反応に、少し困ったような声色でスヴェトザールが返す。
「……瞳の色、ですか」
見本帳を端に置き、サプフィールが自身の目元に手をやる。目の前にある宝石の深い青色はどれも毎日鏡で見ているものに近い。
「……」
サプフィールは納得いかない顔でスヴェトザールに目を向けた。
「私への誕生日の贈り物なのですから、色も私の好きなものにするべきではありませんか?」
せっかく選んでくれて申し訳ないけれど、今回ばかりはサファイア以外が欲しい。
サプフィールがいつもよりはっきりとした口調で言うと、スヴェトザールは「たしかに」と素直に頷いた。
「濃いめの黄色い石を全部出してください」
宝石商にそう頼み、持参していた石を見せてもらう。
シトリン、トパーズ、黄色いサファイアに黄金色のベリル……と紹介をされながら色味を見て、気になるものを見つけては一粒取ってスヴェトザールの目元へ持っていった。
「サ、サプフィール……」
「じっとしててください。目ももっと開いてください」
「あ……はい」
しばらくそうやって選び、やがて納得のいく一粒が見つかった。
「これです……! これにします!」
少し疲れた様子でサプフィールが宝石商に言う。手に持っていたのは小指の爪くらいの大きさの琥珀だった。
「そちらになさいますか。気泡のみが内包しているものですが、虫や植物片が入っているものもご覧になりますか?」
「いえ、結構です。……スヴェトザール様、無理強いをしてすみませんでした」
宝石商の提案を断りつつ、サプフィールはまだじっとしているスヴェトザールの肩を軽く揺する。
「お気になさらず……貴方の気に入るものが見つかってよかったです」
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