第4章 因縁の残火
「そんなモンで俺が殺れると本気で思ってんのか…滑稽だな」
バチィッ!!!
ガキィィィッ!!!!
キン、キンッ!!
金属が噛み合う音が夜気を裂き、火花が散り続ける。
互いの間合いは、半歩も揺れない。
踏み込む足、引く足、呼吸。
すべてが“殺し合いの速度”で噛み合っている。
「そろそろか…」
斗亜が、衝突の合間に低く呟く。
「なんや?そろそろ死ぬ合図か?」
男は笑う。
笑いながら、刃を押し込む。
斗亜の目は、相手の“呼吸の穴”を見ていた。
「いいや…お前の…」
キンッ!!
「負けの合図だ」
次の衝突が、一段強く響いた瞬間。
連刃刀が、二本まとめて悲鳴を上げて砕けた。
嫌な金属音が跳ね、破片が宙を舞う。
「なっ!?」
男の顔から、初めて余裕が消える。
「飛天御剣流ッ――龍翔閃!!!」
斗亜の刀が跳ね上がる。
腹へ水月へ、叩き込むための軌道。
ズドォォン!!
男の体が宙へ持ち上がり、落ちる。
砂が爆ぜる。
「なるほどな…あんたの言う通りや…どうやら…わい、ちょいふざけすぎたみたいやな」
それでも、男は笑ったまま起き上がる。
異常だ。
呻きも、息の乱れも薄い。
「(水月に入れたはずなのに…平然としてやがるとは…)」
斗亜は眉ひとつ動かさない。
ただ、目だけが鋭く細くなる。
“何かある”と確信した目だ。
「なんや…あんたも、そないな顔できるんやな…」
男は着流しを脱ぎ捨てた。
その腹を覆う白銀が、月明かりを跳ね返す。
硬く、冷たい光。
鎧の輪郭がはっきり見える。
「…卑怯な奴だな」
剣心の呟きが低く落ちる。
「白銀の胴鎧…あれが斗亜の龍翔閃を受け止めたのか…」
「げっ!もう始まってるし!!」
遅れて駆け込んできた操と翁、そして新井夫婦が息を呑む。
その場の殺気に、操の勢いが一瞬で削がれた。
「緋村君の弟君の方が優勢のようじゃな」
翁が目を細める。
だが次の瞬間…。