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緋色の誓い

第3章 因縁の残響


女が動き、屏風を畳む。

その奥に現れる、闇へと続く階段。

「京都で待っていてやる」

志々雄は背を向けた。

「人斬りに戻って出直して来い」

「おい!!尻尾を巻いて逃げる気か!?」

答えない、代わりに刀を軽く放る。

宙を舞う刃を、青年が受け取った。

「宗次郎。俺の代わりに、少し遊んでやれ」

「いいんですか?」

「あぁ、龍翔閃の礼だ。お前の“天剣”を見せてやれ」

志々雄は闇へ消える。

残されたのは、戦いの気配だけ。

「くそ…逃げやがって…」

「次は拙者が相手致す…」

「え?んだよ…美味しい所は兄貴かよ…」

斗亜が舌打ちし、納刀する。

「ちょっと!!」

操が叫ぶ。

「何ボーッとしてんのよ!緋村!緋村弟!包帯男逃げちゃうじゃない!!」

その瞬間、言葉が止まる。

「え?」

剣心から溢れた剣気。

目に見えぬ圧が空気を押し潰す。

操は腰から崩れ落ちた。

剣心は刀を抜かない。

ただ宗次郎を見据える。

「抜刀術…やはりそうか…」

「後の先が取れない相手なら、最速で“先の先”を取るしかないな…」

斗亜と斎藤は呑気な声を上げる。

「抜刀術ですね」

「じゃあ、僕も」

同じ構え。

時間が止まる。

呼吸すら凍りつく。

そして二人の目が同時に見開かれた。

一閃。

キィィィィン――!!

甲高い衝突音が響く。

逆刃刀が真っ二つに割れ、畳へ突き刺さる。

「…勝負あり、かな?」

「そうだな。お互い戦闘不能…引き分け、だ」

斗亜が低く言う。

宗次郎が自分の刀を見る。

刃は無残に欠けていた。

「へぇ…すごいや」

軽く肩をすくめる。

「これじゃ修復は無理ですね」

くすりと笑う。

「まぁいいや。志々雄さんの刀ですし。この勝負、確かに引き分けです」

剣心の横を通り過ぎる。

「また闘いたいですね。その時までに新しい刀、用意しておいてください」

闇の階段へ消える。

残されたのは、折れた逆刃刀。

静まり返った座敷。

「緋村…」

操が不安そうに声をかける。
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