第3章 因縁の残響
斗亜が地を蹴るが、間に合う距離ではない。
振り下ろされる刀。
ザシュッ!!!
真っ赤な血が飛び散る。
斗亜の脳裏で、桜の最期と重なる。
「操ぉぉぉぉ!!!!!」
慟哭。
怒り。
恐怖。
後悔。
全てが混ざり合った叫びとなる。
剣心の瞳に、久しく封じていた“あの色”が灯る。
次の瞬間、敵が崩れ落ちた。
「フン」
その後ろに居たのは、煙草を咥えた斎藤が立っていた。
「さ、斎藤…」
「なんだ、お前らも来ていたのか」
斗亜の声には、わずかな安堵が滲んだ。
張り詰めていた糸が、安堵が緩んだ。
「だ、誰…?」
操が眉をひそめる。
斎藤は煙を吐き、三人を一瞥した。
「京都へ向かってるもんだと思ってたが、こんなとこで道草とはな」
「たまたまだ!たまたま!」
斗亜が思わず噛みついた。
ドガァァ!!!
剣心はいつの間には残党をすべて倒し、最後の男を睨んでいた。
逆刃刀が怒りで震えていた。
斎藤が煙草を咥えたまま眉をひそめる。
「あの短気…いい加減直らねぇのか」
「お前も人のこと言えねぇだろ…」
ゴッ!!
「いっ!!?」
斗亜の脳天に斎藤の拳が落ちた。
「やっぱお前も短気じゃねぇか!」
斗亜が頭を押さえて蹲りながら声を上げる。
「オイ」
斎藤の視線は剣心に向いた。
「こんなところで何を道草喰ってやがる?」
剣心は呼吸を整えながら、ゆっくりと逆刃刀を下ろした。
そして、正面から斎藤を見据える。
「なぜ、お前がここに居るでござる」
剣心の声は低く、抑えられていたが警戒が滲んでいた。
足元へ煙草を落とし、靴底でゆっくりと踏みつぶした。
「仕事だ」
「仕事?」
斗亜は、その場で立ち上がり斎藤を見た。
「ここに潜ませていた俺の部下から連絡が入った。志々雄がこの近辺に潜伏している可能性があるってな。討伐隊が京都に集まるまでまだ時間がある。だから様子見がてら、少し足を伸ばしただけだ」
その言葉に、剣心と斗亜の表情が同時に強張る。