第3章 因縁の残響
「事情を話してくれ」
その場に男を埋葬し、斗亜は目を覚ました少年の肩に手を置いた。
少年の肩は震えている。
少年は俯いたまま、拳を強く握る。
「よそ者に話して…何が変わる…」
「拙者たちは、志々雄に会うため京都へ向かっているでござる」
少年の顔が跳ね上がる。
不安な目を向ける。
「大丈夫だ…志々雄は敵だ」
斗亜は笑みを浮かべ、少年を安心させるように言う。
喉が引きつり、息を呑む音がする。
「二年前…志々雄の部下が…突然村に来たんだ…」
その瞬間、少年の瞳が遠くへ向けられてる。
「最初に駐在を殺して…村を乗っ取られた…新しい警官が来るたび…殺された…」
声が震える。
「二年も経ったら…警官すら来なくなった…それで…志々雄の配下が…どんどん増えて…」
言葉が詰まると、空気が重く沈んだ。
「新月村は…政府に見捨てられたんだ…」
その言葉は、刃物のように斗亜の胸の奥に入り込む。
怒りとも、哀しみともつかない重いものが底に溜まっていった。
「そんなの、大袈裟じゃない?きっと政府だって、作戦を立ててる最中なのよ」
悪気のない言葉を操が言う。
少年の瞳が鋭く吊り上がる。
バッ!
懐から一枚紙を出し、地面に叩きつける。
「じゃあ、これはなんだよ!?」
突き付けられたものは、乾いた血がこびりついた地図だった。
震える指が一点を指し示す。
「兄貴が東京から持って帰ってきた最新の地図だ!見ろ!新月村がねぇ!最初からなかったみたいに…消されてる!」
その瞬間に、声が掠れ涙が弾ける。
「兄貴はそれに気づいて…せめて家族だけでも逃がそうとして…殺されたんだ!!志々雄の配下…この村を仕切ってる“尖角”の野郎に!!」
「そうか…」
斗亜は拳を握りしめたまま、深く息を吸い込む。
胸の奥で、何かが静かに軋んだ。
少年がふらりと立ち上がる。