第3章 因縁の残響
「ほんと!?教えてくれるの!?」
「だがその前に、一つ聞かせてほしい」
剣心の声が静かに落ちる。
「操殿、お主は何故蒼紫を探している?」
操の瞳は揺れなかった。
「当たり前でしょ。家族だからよ。あの人は、御庭番衆の誇りなんだから」
その言葉に、二人の視線がわずかに細まる。
夜風が三人の影を揺らした。
「なぁ…兄貴…」
斗亜が低く言う。
「兄貴が話さないってことは…」
剣心は小さく頷いた。
「撒くか…」
「だな…」
次の瞬間、二人は走り始めた。
「あっ!!待てコラァ!!」
操の怒号が追いかける。
枝に忍び装束を切り裂かれながらも、必死に食らいついて二人を追ってくる。
「よっぽど会いたいんだな…」
走りながら斗亜が呟く。
その先には、深い断崖がある。
二人は躊躇うことなく踏み切り、軽々と飛び越えた。
着地に同時に振り返る。
「鬼ごっこは、ここまでだ」
操が崖の手前で足を止めた。
一瞬だけ、恐怖が瞳を過る。
剣心は、すぐに顔を上げ睨んだ。
「待ちなさいってば!!」
腕が振り抜かれ、苦無が雨のように放たれる。
剣心は抜刀の風圧だけで苦無を弾き、崖の底へ消えていった。
「もう諦めて、家に帰れ」
斗亜の声は低く、先ほどまでの軽さはない。
「蒼紫がなぜお主を京都に残したのか…忘れるんだ。それがお主の幸せでござる」
剣心の言葉が操に届くと、肩を震わす。
拳が白くなるほど、握りしめられている。
二人に背を向けて、数歩歩く。
剣心と斗亜が歩き出した。
その瞬間…。
「好き勝手言うな!!!」
操の叫び声が森を震わせた。
「忘れられないから探してるんじゃない!!一番大事な人忘れて、どこが幸せなのよ!!」
操の言葉に二人の目が揺れる。
操は走り出し、崖へ向かって駆け出す。
「待て!!!」
剣心の声は届かない。
距離が届かなく、操の体が崖下に放り出される。
落下していく。