第3章 因縁の残響
操は剣心の前に回り込み、逃げ道を塞ぐ。
「蒼紫様はどこ!?般若君は元気なの!?式尉は!?ばし見は!?ひょっとこは、どうしたのよ!!ねぇってば!!」
その勢いに、剣心の眉がぴくりと動いた。
ほんのわずかに。
「うわ…仲間の名前、普通に言ったな…隠密じゃねぇのかよ…」
斗亜は呆れながら小声で呟く。
操は、そんなこと気にも留めない。
ぐいっと距離を詰めると、鼻先が触れそうなほど顔を近付けた。
「ねぇ~返事くらいしなさいよ!赤毛!!ペケ傷!!男女!!廃刀令違反!!悪趣味な赤黒着物!!」
「一応、“緋村剣心”という名があるでござる。それで呼んでほしいでござるよ…」
「俺は緋村斗亜な…っていうか、俺関係ねぇし!」
操は首をかしげ、二人の顔を交互に見比べた。
「なに、あんたたち兄弟なの?どうりで似てるわけだ。じゃあその名前で呼べば、みんなのこと教えてくれる!?」
「いや、それとこれとは別だろ…そんなに人生甘くねぇって」
「なら教えなさいよ!!」
次の瞬間、操の体が跳ね上がる。
斗亜は反射的に体を捻り、風のようにかわした。
跳び蹴りをかます。
バキッ!!
「おろっ!?」
蹴りはそのまま剣心へ直撃し、見事に後方へ蹴り飛ばす。
「あぶね~!」
斗亜は額の汗を拭い、心底安堵した顔を浮かべる。
操は地団駄を踏んだ。
「ざけんな!!この野郎!!」
地面に倒れたまま、剣心は手を挙げる。
「ま、待つでござるよ…説明するでござる…」
その一言で、操の動きが止まる。
獲物を前にした獣のように、瞳だけがギラリと光る。
「ほらな。言わなきゃ、ずっとこの調子だぞ?」
「そうだそうだ!!」
剣心は深く息を吐いた。
「御庭番衆のこと。蒼紫のこと。話すときが来たようでござるな」
操の表情が一瞬で花開く。