第3章 因縁の残響
「盗みを働いたお主らも悪ければ、追いはぎした操殿も悪い。拙者たちも巻き込まれた以上、両成敗ということで勘弁してほしいでござるよ」
「兄貴…いつの間に、このガキの名前聞いてたんだよ」
「誰がガキよ!!」
キンッ。
二人は同時に刀を鞘に納める。
次の瞬間…。
メリ…メリメリ…。
橋桁が不気味に軋み始めた。
「うわぁぁぁぁ!!!」
「えっ!?ちょっ!!崩れ!?」
ドシャ――――ン!!!
橋の中央が崩落し、三十人近い男たちが派手な水柱を上げて川へ落ちていく。
夜の静寂を引き裂く水音。
その余韻の中で、剣心は肩の力を抜いた。
「川辺や橋での闘いは、昔嫌というほど経験しているでござる。この程度の橋なら造作もない」
操は口をぽかんと開けたまま固まり、瞳をきらきらと輝かせた。
「あんたたち!見かけによらず…すごいじゃない!」
斗亜は苦笑し、軽く肩をすくめる。
「まぁ…色々あってな」
「でもね、私が探してる人たちはもっとすごいわ!」
操は満足気に頷き、崩れた橋を見下ろした。
「左様か…」
剣心は素っ気なく返し、そのまま歩き出す。
「幕末の激動の中で、江戸城を影で守り抜いた人たちよ。今頃何してるかな…蒼紫様と、隠密御庭番衆のみんな…」
ぴくり。
剣心の足が止まった。
わずかに落ちる沈黙。
斗亜が怪訝そうに剣心を見る。
操は、その反応を見逃さない。
一気に距離を詰める。
「あんた!!みんなのこと知ってるの!?ねぇ教えてよ!!今どこに居るの!?元気なの!?」
剣心は目を伏せたまま答えない。
その沈黙が、見ようによっては答えになっていた。
山道に入り剣心と斗亜は先を歩く。
操は、その数歩後ろを歩く。
「ちょっと!急に黙らないでよ!!」
急に焦りが混じる。
「なぁ…言ってやったら?このままだと、ずっとついてくるぞ?」
斗亜が剣心の後ろから肩越しに声を潜ませる。