第3章 因縁の残響
ガサッ。
「「…ッ!?」」
兄弟の気配が同時に研ぎ澄まされる。
「女の声…それに複数の男の声…志々雄一派ではなさそうでござるな」
「山賊か、追いはぎか…」
斗亜が息を吐く。
「接触は避けたいが…仕方ねぇな…」
焚き火を消し、林の奥に進んでいく。
林を抜けた先。
一人の少女が、金の入った袋を見て満足そうに笑っていた。
忍び装束めいた軽装だ。
腰には小袋が一つ結ばれていて、動くたびにじゃらりと鳴る。
「ま、こんなもんか」
「これは驚きだな」
「っ!!??」
斗亜の声に、少女は文字通り飛び上がった。
「ちょっ!?なによ!あんたたち!!忍者!?泥棒!?いや怪しい剣客!?」
「追いはぎには違いないが…女とは珍しいでござる」
剣心は感心したように呟くと、少女の眉がぴくりと跳ね上がった。
「はぁ!!?女がやっちゃいけないっての!?」
「いや…追いはぎ自体がダメだろ…」
斗亜ぼそりと言う。
少女はじろりと二人を見る。
値踏みするような視線を向けてくる。
「ふ~ん…もしかして文無し?」
「あははは!!」
斗亜は堪えきれず吹き出し、剣心は細めた目のまま苦笑する。
「じゃあ、その二本の刀もらうわ!お金の代わりに!!」
「おろ!?」
「はぁ!?」
見事に重なる間の抜けた声。
少女は胸を張った。
「この廃刀令の時代に、わざわざ腰に刀差してるんだもん!高く売れるに決まってるでしょ!」
ダンッ!
地を蹴り、一直線に斗亜へと飛び込む。
ドンッ!!
少女渾身の当身だ。
「どうだ!!」
斗亜は、わずかに首をかしげただけだった。
「正直、全然痛くない。子供の当身は効かないぞ?」
少女の動きが止まる。
気付けば斗亜の手には、少女が男たちから奪った金が入った袋があった。