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緋色の誓い

第3章 因縁の残響


「剣心ーーーーー!!!!」

薫の泣き叫ぶような声が、春風に乗って遠く響いた。

胸を裂くような、痛みそのものの声。

斗亜は思わず振り返り、静かに目を閉じる。

「薫さん…俺のせいで、ごめんな…」

声はまるで、行かないでと縋る幼子のような泣き声のようだ。

胸の奥が締め付けられるようだ。

剣心は振り返らない。

それでもわずかに震えたのが分かった。

斗亜は息を吐き、背を向ける。

兄と同じ方角へと歩き出そうとした。

その時…。

ざりっ。

砂利を踏む音が聞こえ振り返る。

道の中央に、斎藤が立っていた。

「神谷の娘に、別れは済ませたか?」

二人の鋭い視線が斎藤を突き刺す。

剣心の視線には怒りだけではなく、確かな痛みがあった。

斎藤は肩をすくめる。

「悪い、余計な一言だったな」

謝罪の形を取りながらも、口元には意地の悪い笑みが残っている。

「これからは志々雄一派と共に闘う同士だ。仲良くやろうぜ」

「「共に…闘う?」」

剣心と斗亜の声が重なる。

同時に眉をひそめる二人。

斎藤は面倒くさそうに続けた。

「大久保卿暗殺の後始末で、川路の旦那は雑用に追われている。京都の現場指揮は、俺が取ることになった」

兄弟の顔が揃って露骨に曇る。

「最悪だな…」

斗亜は心の声が、そのまま漏れた。

斎藤の目が細くなる。

「なんだ、その露骨に嫌そうな顔は」

「「別に」」

寸分違わぬ即答。

その揃い方が、余計に空気を重くした。
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