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緋色の誓い

第3章 因縁の残響


足元に転がる四人の亡骸。

部屋を支配する、重すぎる沈黙。

斗亜は、刀を落とすように手放し、崩れるように桜のもとへ駆け寄った。

桜は幸太を抱き締めたまま、静かに伏している。

血に濡れているのに、顔だけは穏やかな微笑みを残していた。

まるで、眠っているかのように。

「さ、桜…ごめんな…俺と一緒になったばかりに…」

止めようのない涙が、桜の頬へと落ちる。

その雫を感じ取ったかのように、桜の瞼がゆっくりと開いた。

震える腕が持ち上がる。

斗亜の頬に触れる。

桜の温もりが伝わる。

「あなた…泣かないで…」

息に紛れそうな、か細い声。

「私は…とても幸せでした…あなたと一緒に居られて…本当に良かった…」

浅く息を吸う。

その小さな動き一つが、胸を引き裂く。

「最期に…お願い、聞いてくれますか…」

「もちろんだ!」

斗亜は桜の手を包み込む。

壊れてしまいそうなほど強く。

「もう…人を殺めるのはやめて…たくさんの困っている人を…助けてあげて…そして…新時代に…生きて…」

その言葉と同時に…。

スッ。

桜の手から、力が抜けた。

斗亜の手の平の中で、重さだけが静かに消えていく。

それが、桜の最期だった。

「さくらぁぁぁぁぁぁ!!!!」

血に濡れた大地に、慟哭が叩きつけられる。

斗亜は妻を抱き、息子を抱き泣いた。

止まらない涙。

遅すぎた後悔。

守れなかったという現実が、胸の奥を何度も引き裂く。

掴みかけた幸福を、この手で何一つ守れなかった。

桜の願い。

その言葉を胸に刻んだ瞬間でさえ斗亜の内側では、修羅がなおも深い闇の底で静かに息づいていた。

消えることなく。

ただ、彼を見つめ続けていた。
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