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緋色の誓い

第3章 因縁の残響


上から落ちてくる敵を貫く、迎撃の突き。

剣心は咄嗟に体を捻る。

ザシュッ!!!

致命傷だけは避けた。

逆刃刀の柄が揺れ、緋色の着物が鋭く裂ける。

脇腹に、細く赤い線が走った。

「串刺しだけは避けたか」

斎藤の口元に、余裕が滲む。

「思ったより、いい反応だ」

ダンッ!!

斎藤の蹴りが、剣心の腹へ深く突き刺さった。

息が強制的に吐き出される。

ドシャッ!!

剣心の体が宙を舞い、畳へ叩きつけられる。

斎藤はすぐに剣心に斬りかかる。

「…ッ!?」

薫は悲鳴を上げかける。

だが声は喉に張り付いたまま出ない。

キィィィィン!!

鋭い金属音が響く。

剣心が逆刃刀で、間一髪受け止めた。

バキッ!!

逆刃刀の鍔が、わずかに歪む音だった。

「無駄な足掻きを…」

斎藤は剣心の腕を絡め取るように引き寄せ、そのまま壁へ叩きつける。

ドガァァン!!!

道場の壁が軋む。

薫は口元を押さえ、弥彦の足は震えていた。

斎藤は、ゆっくりと愛刀を撫でる。

「無銘だがな…幕末から明治まで、幾度も危難を払い続けてきた。この技と刀…今のお前に敗れる代物じゃねぇ」

剣心は肩で激しく呼吸する。

荒い呼吸の合間に、斎藤を睨みつける。

逆刃刀を杖のように床に突き刺し、立ち上がった。

「剣心…」

薫の声が震える。

その隣で斗亜は表情を変えず、闘いを見つめ続けていた。

「徐々にだが…斎藤と斬り結ぶことで、兄貴は“人斬り抜刀斎”に戻りつつある」

驚くほど冷静な声だった。

薫の理解が追い付かない。

その場に膝を落とす。

「そんな…剣心が…人斬りに戻るなんて…」

斗亜は、崩れ落ちた薫へ視線を向ける。

慰めの言葉はかけない。

ただ…現実を告げる。

「これは…斎藤が兄貴の“過去”を引きずり出している闘いだ。キレたか…それとも…」

言い終えるより早く斎藤が動き出した。

ガッ!!!

鈍く、重い衝撃音が道場に炸裂した。

剣心の拳が斎藤の襟元を正面から打ち抜く。

踏み込みの勢いそのままに、斎藤の体が後方へと弾き飛ばされた。
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