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緋色の誓い

第7章 新たな道標



「うまっ」

素直な感想が口をつく。

薫も味噌汁を口に運び、少し目を丸くした。

「美味しい…思ってた以上だわ」

斗亜は怪訝そうに眉を寄せる。

「思ってた以上って何だよ」

「だって…」

薫は笑いながら言う。

「斗亜って料理より剣のイメージだったから」

「料理も普通に出来る」

斗亜は少しだけ胸を張る。

その間にも湯呑を並べ、お茶の支度を始めていた。

急須へ茶葉を入れ、湯を注ぐ。

少し蒸らしてから三人の湯呑へ注いでいく。

「お茶」

弥彦は受け取ると、そのまま一口飲んだ。

「……」

表情が固まる。

「どうした?」

斗亜が聞く。

弥彦は顔をしかめた。

「茶が…苦ぇ」

斗亜も自分の湯呑へ口を付ける。

数秒後。

「苦いな…」

薫も恐る恐る飲む。

「うわ…濃すぎるわね。喉がきゅってなる」

弥彦が首を振る。

斗亜は急須を見つめ、小さく肩を落とした。

「昔から茶だけは上手く淹れられねぇんだよな…」

ぽつりと漏らした一言に、薫は思わず笑みをこぼす。

「ご飯も味噌汁も美味しいのに、どうしてお茶だけ失敗するのかしら」

「俺にも分からん」

斗亜は真面目な顔で答える。

弥彦は笑いを堪えながら言った。

「でもさ、なんか一生懸命淹れたって味がする」

斗亜は一瞬驚いたような顔をした。

「それ褒めてるのか?」

「半分くらい」

弥彦が笑う。

薫も思わず吹き出した。

斗亜は苦笑しながら急須を見下ろえた。

「次はちゃんと淹れる」

「期待してるわ」

薫が笑顔で頷く。

ふと、その笑顔が静かに曇る。

「剣心の分は、お粥にしましょうか」

「あぁ」

斗亜も頷いた。

その一言で、食卓の空気が少しだけ静まる。

誰とはなく視線が剣心の部屋へ続く襖へ向きかける。

しかし誰も何も言わない。

口にしてしまえば、不安まで現実になってしまいそうだった。

斗亜は食べ終えると静かに席を立つ。

食器を片付け、鍋を洗い、再び竈へ向かった。

釜へ少量の米を入れる。
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