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緋色の誓い

第7章 新たな道標



剣心はすぐには答えない。

柱へ背を預け、静かに夜空を見上げ続ける。

そして穏やかな声で言った。

「こうして今、ここで星を見ている。それが答えではござらんか」

その言葉は静かに胸へ落ちていく。

斗亜は何も返せず、ただ空を見つめていた。

その時だった。

「こんな夜更けに何してるの?」

後ろから薫の声が聞こえる。

振り向くと、少し眠そうな表情で腕を組んだ薫が立っていた。

その後ろから弥彦もひょいと顔を出す。

「夜中にこっそり稽古でもしてんのかと思ったら、星見てたのか」

斗亜は苦笑する。

「そんな気分じゃねぇよ」

薫はそのまま縁側へ腰を下ろした。

弥彦も隣へどかっと座る。

気付けば四人が肩を並べて夜空を見上げていた。

誰も急いで話そうとはしない。

静かな時間が心地よかった。

「綺麗ね…」

薫が小さく呟く。

弥彦はそのまま縁側へ寝転び、両手を頭の後ろへ組んだ。

「流れ星でも出ねぇかな」

「見つけたらどうするんだ?」

斗亜が笑う。

「決まってるだろ」

弥彦は迷いなく答えた。

「もっと強くなれますように、って願うんだよ」

あまりにも真っすぐな答えに、薫はくすっと笑う。

「願う前に稽古しなさい」

「努力もしろってことね」

「夢がねぇなぁ」

弥彦が頬を膨らませる。

斗亜は薫へ視線を向けた。

「薫さんは?」

「秘密」

薫は悪戯っぽく笑う。

そのやり取りに剣心も静かに笑みを浮かべる。

斗亜も自然と笑っていた。

ほんの少し前まで胸を締め付けていた重苦しさが、いつの間にか薄れていることに気付く。

その瞬間だった。

「あっ!」

弥彦が勢いよく起き上がり、夜空を指差す。

「流れ星!」

四人が同時に空を見上げる。

暗い夜空を、一筋の光が静かに駆け抜けていった。

ほんの一瞬。

けれど誰の目にも、確かに映っていた。

「しまった!」

弥彦が頭を抱える。

「願い事する前に終わっちまった!」

薫が思わず笑い出す。
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