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緋色の誓い

第7章 新たな道標



「野菜も魚も買ったから、思ったより荷物が増えちゃってね。せっかくだから手伝って」

斗亜は三人の荷物を見比べ、小さくため息をついた。

「兄貴…これ、最初から荷物持ちが欲しかっただけじゃねぇか?」

弥彦が肩を震わせる。

「ばれたか」

薫も悪戯っぽく笑う。

「それとね」

くるりと指で町の方を示した。

「帰り道も案内してあげる」

斗亜は眉をひそめる。

「いらねぇよ」

「本当に?」

薫が首をかしげる。

「さっきまで橋の周りをぐるぐるしてた人が?」

「三周はしてたぞ」

弥彦が追い打ちを掛ける。

斗亜は口を開きかけて止まった。

数秒黙り込む。

「た…たまたまだ」

その一言で、弥彦は再び吹き出した。

剣心は苦笑しながら米袋を差し出す。

「では、お願いするでござる」

斗亜は観念したように受け取る。

ずしり、と腕へ重みが掛かった。

「…重いな」

「米だからね」

薫が先頭に立って歩き始める。

「こっちよ」

弥彦は斗亜の横へ並び、笑いを堪えながら言った。

「ちゃんと付いて来いよ」

斗亜は横目で睨む。

「だから迷わねぇって」

四人は肩を並べて歩き出す。

穏やかな川風が背中を撫で、荷物を抱えた斗亜は前を歩く薫の後ろ姿を見つめた。

その先には、神谷道場へ続く見慣れた道が真っすぐ伸びている。

ほんの少し前まで見つけられなかった帰り道が、今は何の迷いもなくそこにあった。



京都から戻って数日。

東京の町には、いつもと変わらない活気が戻っていた。

店先では魚屋が威勢よく声を張り上げ、商人たちは客を呼び込み、往来では人々が忙しなく行き交う。

その賑わいを耳にしているだけで、生きている町の息遣いが伝わってくる。

その人波の中を、剣心と斗亜は肩を並べて歩いていた。
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